操作盤によく「原点復帰」と書かれたボタンを見かけることがあります。
この原点復帰の回路の作成に対して二つの考えがあり、それぞれを紹介していきます。
原点復帰の解説
原点復帰の定義
ここでいう原点復帰とは自動運転の開始位置へ移動する動作を示します。
まだ原点に馴染みのない方はクレーンゲームを思い浮かべてください。
コインを入れる前のあの位置が開始位置となり原点と呼ばれます。

クレーンゲームでは原点は固定位置になりますが、FAの世界では機械の状態によって変化することがあります。
例えばワークを掴むチャックがあります。
ワークがない場合はチャックが開き状態を原点として考えますが、
ワークを掴んだ状態で自動運転を行う場合、チャックを閉じた状態を原点として考えます。
ワークの有無だけではなく、品種によって動作が変わるものなどそれに応じて原点が変わる場合があります。
また原点はここでもいいし、ここでもいいと複数個所を設定する場合もあります。
原点復帰はただ戻すだけではない
一つの考え方ですが、「原点復帰」ボタンを押した際に行うのは戻す動作だけではない場合があります。
搬送中のワークがあればそれを次のステージに搬送しきった後に原点に戻すなど、
半分自動運転とも言える動作を行ったこともあります。
また、原点に戻す際も他のアクチュエータを戻すため、
一旦このアクチュエータを前進させて次はこれを原点に戻して、前進させたアクチュエータを原点に戻す・・・
などパズルのようなことも行う必要が出てくる場合があります。
原点復帰回路
2つの考え方
前述した通り操作盤の「原点復帰」ボタンを押したとき、機械は原点に向かい移動します。
その回路の作成方法に対して下記の2つを紹介します。
- 原点復帰専用回路を作成する
- 手動回路と共用して作成する
原点復帰専用回路を作成する
自動回路のようにシーケンス動作を作成していく方法になります。
手動回路と共用して作成する
アクチュエータを個別に操作する為の手動回路があると思いますが、
これと共用して作成していく方法になります。例えば下記のような形になります。

特徴比較
2つの方法の特徴を比較します。
項目 | 原点復帰専用回路 | 手動回路と共用 |
ステップ数(プログラム容量) | 専用回路が必要なので、 その分容量が必要 | 手動回路と共用されるので、 その分少なくて済む |
プログラム工数 | 一からシーケンス動作を作成する為、それだけの工数が必要 | 手動回路に接点を足すだけなので、 比較的短時間で済む |
汎用性 | 専用回路なので自在に変更可能 | 手動回路がベースなので、 複雑な動作には不向きな傾向にある |
まとめ
今回2つの考え方を紹介しました。
わたしの場合は拡張性があるので原点復帰専用回路を作成することが多いです。
よほど原点復帰が単純な機械か、プログラム容量が厳しい場合に手動回路と共用して作成することがあります。
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